木もれびの森

ススホコリ

モジホコリ科ススホコリ属

林の中でいちばん目に付く粘菌は、鮮やかな黄色をしたモジホコリ科の変形体です。6月から9月まで気温と湿度の条件が揃うと突然現れます。茶色の朽ちた木の表面や緑色の葉の上に現れるので、その気になって探せば遠くからでもわかります。ただ、ススホコリとムシホコリは変形体を見ただけでは区別がつかないこともあり、子実体になったものを見て初めてどちらなのか判定できます。翌日、変形体と同じ場所で子実体が見つかったため、ススホコリであるといえる例を4つあげます。

例1:散策路の柵に使われている伐採木に黄色の粘菌を見つけました。翌日同じ場所を訪れてみると、粘菌の色、形、位置が変わっていました。この時初めて、粘菌には変形体と子実体があることを知りました。なお、この柵の上ではさまざまな粘菌が見つかります。

黄色い粘菌発見(円内)

黄色い粘菌発見(円内)

2018年7月7日 若松

正体はススホコリの変形体

ススホコリの変形体

2018年7月7日 若松

翌日、子実体に変身

ススホコリの子実体

2018年7月8日 若松

例2:黄色で目立つといっても全体の大きさは小さいので、注意して見ないと見逃します。一日経過すると移動して範囲も広がり、子実体に変身します。変形体と子実体のどちらにも近くにキセルガイの姿が見えますが、同じ個体でしょうか。粘菌はキセルガイの好物のようです。

枯れ木の上に黄色い粘菌(円内)

倒木の上に黄色い粘菌(円内)

2022年8月22日 若松

変形体

変形体

2022年8月22日 若松

子実体

翌日、子実体に

2022年8月23日 若松

例3:枯れ木の穴の位置を基準にして比較すると、移動したことがわかります。白い網状のものは移動した跡(変形膜)です。

変形体が3箇所に出現

変形体

2022年9月8日 若松

子実体は分裂状態

子実体

2022年9月9日 若松

例4: 2023年、林の中で最初に出現したススホコリです。梅雨明けに見られることが多いので、この時期に見られるのは珍しいです。上部と下部の2箇所(円内)に黄色い変形体が見られます。翌日には移動して子実体になります。

上部と下部の2箇所(円内)に変形体

変形体

2023年5月31日 若松

翌日、両者とも子実体に

子実体

2023年6月1日 若松

上部と下部をそれぞれ拡大すると、変形体が子実体に変身することにより、位置、色、形が大きく変化していることがわかります。

上部の変形体

変形体

2023年5月31日 若松

上部の子実体

子実体

2023年6月1日 若松

下部の変形体

変形体

2023年5月31日 若松

下部の子実体

子実体

2023年6月1日 若松

変形体と子実体のどちらか一方しか観察できなかったものを下に示します。変形体は同じ黄色のムシホコリと比較すると、あまり広がらず、塊は小さく、ツブツブの形状のものが多いです。生育場所の形状に合わせて、さまざまな広がり方をします。

変形体1

変形体1

2017年9月7日 東大沼

変形体2

変形体2

2018年7月7日 東大沼

変形体3 枯れ葉の上にも

変形体3

2018年8月21日 若松

変形体4

変形体4

2018年8月27日 東大沼

変形体5

変形体5

2020年6月3日 若松

変形体6

変形体6

2021年6月9日 若松

変形体7

変形体7

2021年6月3日 若松

変形体8 粒状

変形体8

2022年7月25日 若松

変形体は翌日には薄い黄色の子実体になり、その後次第に白色になっていきます。多くは枯れ木の表面で見られますが、葉の上で見つかるものもあります。変形体が移動した場合は、白い網状の跡(変形膜)が残ります。

子実体1

子実体3

2019年7月3日 東大沼

子実体2

子実体4

2022年8月11日 東大沼

子実体3

子実体1

2022年8月1日 若松

子実体4

子実体2

2018年8月21日 東大沼

子実体5

子実体5

2022年7月1日 若松

子実体6 人面?

子実体6

2022年7月28日 若松

子実体7 葉の上

子実体7

2022年8月23日 若松

子実体8 葉の上

子実体8

2020年8月24日 大野台

子実体9

子実体9

2022年8月8日 若松

子実体9 左図の赤四角内を接写

子実体9

2022年8月8日 若松

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